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盲目レストランで開眼。

ずいぶん前から予定していたものの、私の圧倒的な企画力のなさにより
実現が延びていた闇レストランで新年会を開きました。


「暗黒の中で新年会ってどうよ…」と自分でもちょっと思ったのですが。
だってあまりおめでたい感じではないし、むしろ幸先が悪そうだ。


でもここは目の見えない人たちの日常を体験学習するレストラン。
ウェイトレスやシェフは全員盲目です。
新年を機に、あらゆる意味で気を引き締めるのも大事だyo、ということで。
ごめんなさいごめんなさいとってつけたような理屈でごめんなさい。


レストラン【Dans le noir?】(闇の中)。
最寄り駅Farringdon.パリ、モスクワにも支店アリ。


お店に着くと、バッグ・コート・発光する腕時計・携帯などは全て没収。
担当のウェイトレスさんを紹介されたのち、前の人の肩につかまって(一番前の人はウェイトレスさんにつかまる)全員電車ごっこスタイルで入室です。


一寸先は闇。
それはけして目が慣れることのない、完全なる暗黒。


狭い廊下を誘導され、席につくころには
視覚はおろか三半規管がもげかかっている。

「頭をぶつけるのでは」という妄想に囚われてみんな微妙に前かがみの体勢。
立ち止まれば即座に立ちくらみ、自分の周りのわずかな空間を
埋めている「何か」に触れるのが怖いような、触れられないのが怖いような。
行動範囲はもはや半径30cmです。


ウェイトレスさんに水やワインの注ぎ方を教わったり、※自分で指を入れて水位を図る
テーブル上のおおまかなレイアウトを説明してもらったりしながら、
何が出てくるか分からないサプライズ・メニューのお料理を食べたのですが、


人間、真っ暗闇で食事をするとどうなるか。


①完食したのかどうかわからない。

だってお皿に何が残っているのかわからないんですもの。
ナイフに、フォークに、さらには手に、こつんと当たるものから食べていく。
当たらなくなったら終わり。「ごちそうさ…ま…?」という疑問系なフィニッシュ。


②「文明的な食事」は早々に諦める。

ナイフやフォークとは早い段階でお別れしました。
パンやポテトはもちろん、べちゃべちゃにソースがかかったお魚まで
手づかみバンザイ。ナプキン?ひっかけてますよ、ブラに。(え
フォークの背で肉を切ろうとしたり、後半ナイフしか食べれなかったり、
うーんカトラリーって邪・魔☆


③人恋しくなる。

このレストラン、2月にはバレンタイン特別企画で
「ブラインドデート」を催すらしいんですが
思うにそれは絶対成功するね。無償に人に触れていたいもんね。
常にやみくもに手を延ばして、みんなをペタペタやったり
ガシイ!と掴んだりしていた気がする。パーソナル・スペースって知ってるかい。
声もやたらと大きくなって、たぶんすぐそこにいる人に怒鳴ったりました。

ちょっと喋らないと存在を忘れられるのも、不安を煽る感じ。


④目がすっごく疲れる。

まあ開けてても閉じてても全く何も変わらないんですが、
開けてるとどうにか見ようとして目ががんばっちゃうし
閉じてるとなんだかバランスがおかしいし、やっかいでした。

しかも私、一瞬だけ細長い白いものが見えたことがあって!!!!

それが超現象的なものというよりは、どちらかというと
「網膜…イカれた…?」と疑うような内出血的なものだったので、ちょっと心配した。
実は一瞬だけドアが開いて、厨房の明かりが漏れたのですね。後で友だちと確認がとれて安心。


他にも色々と調子が狂いまくりだったのですが、結局食事中ずっと
心のどこかでもう出たい、帰りたい、と思ってました。

食事が終わり、再びウェイトレスさんにつかまって廊下を抜け
しばらくぶりに光が見えたときには、どこからともなく「わあ」と歓声があがったのですが
「それをウェイトレスさんはどんな気持ちで聞いただろう」と後日友だちが言ったのを聞いて、
「そうだよナ…」と思いました。
目が見えない人=不幸、とは必ずしも思いませんけどね。


ところで肝心の料理はどうだったのヨという人のためにメニューを掲載。
(あとで教えてもらえる)



ええと、友だちに「なんかグジュグジュした脂身が肉の上に乗っているから気をつけろ」
と言われて必死によけていたものはフォアグラでした。(∩゚д゚)…オウ…!
そしてシャケの皮だと思っていたものはサメのカルパッチョだった。
なんだかんだで結構いいものを食べていたみたい、私たち。


視覚が遮断されるぶん、味覚が2倍になるのでは?と思っていたのですが
なるほど人間は目でも味わう動物ですよ。でなきゃ和菓子を桜の形にして喜んだり、
パティシエが作るケーキを見てきゃあ!となったりするわけがない。
あ、お味はどれもこれもおいしかったですよ念のため。
ただ、臆病になっている人間が味を100%満喫するには
色々と無理があるのだなあと思いました。


お会計の際、カウンターの向こうに盲導犬くんがいたので、
彼とニャーとか言いながら戯れるのが楽しかったです。


レストランの方には、なるべくノリのいい、顔が見えなくても会話が成立する、
気が知れた友だちと大人数で行かれることをおすすめします。
1stデート@ふたりきり、とか接待with取引先とかはおよしなさい。


しみじみと考えさせられる経験でした。
なんというか、こう言うのか?言うのか?目からウロコが落ちた感じ。…言った!(゚∀゚)


※このレストランでは、売上の10%をチャリティーへ寄付しています。※


大学生ブログ選手権←An eye-opening experience(もういい)

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Mayumi reviews」カテゴリの記事

コメント

これでもか!というくらいのCliche攻撃、どうもありがとう。笑

確かに前までは「真っ暗の新年会なんて〜」なんて言ってたけど、結果的には良かったと思うよ、ほんと。今年はウダウダ言わずに頑張ろう!と思えたもん。(次の日1日だけ。)

そういえばブラにナプキン引っ掛けてた。
でも誰かが「赤外線カメラ云々」と言いだしたその瞬間に抜き取りましたさ。ふ。どうせ小心者。

投稿: Aちゃん | 2007年1月16日 (火) 09時30分

え、あの後とったの!!??

私、Aみちゃんがそうしてるって言うから、
「なるほろ」と思って真似したのに!!!!

赤外線カメラは、正直ちょっと意識したよね。
ジェットコースターでよくやるみたいに、いきなり写真を撮られたら
みんなすごいことになってただろうね。

口も目も半開き。手づかみで魚@熊スタイル!笑

投稿: まゆみ→Aみちゃん | 2007年1月16日 (火) 21時08分

まゆみさん、はじめまして☆

いつも楽しく読ませてもらってます。文章がとってもおもしろくて、
つい笑ってしまいます。と同時に、日本語もこんなに書けて、英語も話せるまゆみさんに、あこがれてます。

私もイギリス行きたいです!海外で生活するのが夢です。
これからも応援してます!!

投稿: honey | 2007年1月18日 (木) 00時06分

コメントありがとうございます!

このブログを通して、honeyさんがなんか間違った海外生活に
憧れてしまわないように気をつけつつ、がんばります(笑

投稿: まゆみ→honeyさん | 2007年1月18日 (木) 19時03分

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