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【自閉症】を考える

※ちょっとセンシティブな話題注意報。


オックスフォードで登録している通訳事務所のお仕事で、三日間かけて【自閉症】に触れました。

日本から来た研究員の方たちと、英国自閉症協会(NAS)の本部で自閉症の人たちの教育の現状についてお話を伺ったり、様々な自閉症(アスペルガー症候群含む)の子供たちの学校を見学して回ったりしました。

ここで、私の【自閉症】についての知識は、せいぜいいくつかのドラマと、数年前に読んだThe Curious Incident of the Dog in the Night-Timeという、自閉症の男の子が主人公の本から覚えていたものだけだったということを言っておきます。

日本語版出てるみたい。読んでみて、絶対面白いから。
この啓示的な小説の語り手は、15歳の自閉症の少年 Christopher Boone だ。うめくことと頭の中で数学の問題を解くことで気を落ちつけ、赤いものは食べるが黄色いものと茶色いものは食べず、触られると叫ぶ。隣家のプードルが何者かに殺され、その濡れ衣を着せられた Christopher は、お気に入りのキャラクターのひとりシャーロック・ホームズをまねて犯人を探そうと決意する。Christopher が入り乱れる刺激を理解する方法はただ1つ、抽象的なパターンに当てはめることだ(「黄色い車が4台並んだ日は黒い日だ。誰にも口をきかないで読みかけの本の上に座って何も食べないで危ないことをしない日だ」)。想像力を欠く観察が、一種詩的な感性と辛辣な人物描写に拍車をかける。

初日に訪れたのは、重度の自閉症の子供たちが通う小・中学校。

教頭先生に連れられて、教室や授業風景など学校内をくまなく見学したんだけど。
ちゃんと中立に、的確に通訳できるように大人な振る舞いをしようと心がけたんだけど。

でもでもまゆみ、実はすっっっごく怖かったの。

レセプションに入ったとたん、目にしたのは大声で叫びながら走ってくる少年たち。ブツブツひとり言を言いながら、廊下に座り込んでいる子。カメラ片手に、ひたすらフラッシュをたき続ける子。

正直とても異様に映る行動を目の当たりして、しかも男の子の多くは私よりずいぶん体も大きい。

ある男の子は、目が合うとこちらに突進してきて、(他人との距離の測り方が分からないから)私の顔から数センチのところまでぐい、と近づいてきた。私が立ちすくんでいると、おもむろに手を顔につきつける。


何?と思ったら、握手。


恐る恐る手を握ると、何度も何度も挨拶して、自分の名前を言う。私に、少しおかしな口調で、でも丁寧に「ご機嫌いかが?」ってたずねる。何回も。多分これが彼流の挨拶の儀式。

廊下では、一歩一歩左右の足を交互に出しながら、壁づたいにゲリラみたいに移動している子と遭遇。自分が通過する全てのものに触れないと気がすまないらしく、無駄の多い変な歩き方。

「驚かさないように、そっと脇を通り抜けてください」と言われたけど、すれ違いざまに腕を掴まれた。その瞬間、私は彼にとっては通過を妨げる障害物なわけで。

フラッシュを怖がる子もいるので(+子供たちの肖像権の問題もあり)、写真撮影には気をつけなければいけない反面、「質問があれば、先生にではなく直接子供たちに聞いてください。」と教頭先生。ビックリして「話しかけてもいいんですか?」って聞いたら、「もちろん。子供たちも喜びます」って。彼らを人として尊重するってそういうことなんだ。最初怖がってた自分のチキンさが恥ずかしい。

学校では、そんな子供たちがスピーチ・セラピスト、アート・セラピスト、演劇セラピスト、音楽セラピストなどの専門家について、クリスマス劇の練習をしたり、太鼓を叩いたり、ダンスを踊ったり(しかも結構うまい)、様々な授業に取り組んでました。コミュニケーションを苦手とする彼らにとって、そういったパフォーミング・アートは大切な自己表現の場なんだそう。

一番驚いたのが、一部の生徒には自分たちの病気である【自閉症】について教えているということ。

自分や周りの人間にとって自閉症が何を意味するかを話し合ったうえで、自閉症である自分を肯定してあげるという大切な時間なんだって。自分を理解するエクササイズなんだね。

次の日は、軽度の自閉症の子たちが主に通う、学習障害の子供たち用の小学校。

集会のときに座るベンチとか、いいことしたときに胸に貼ってもらう金のシールとか、自分の小学校時代と全く同じことをしていてとても懐かしかったんだけど、逆に言えばそれだけ一般の小学校と変わらないわけで。

普通の学校と違うのは、先生が話す内容の1/3くらいが手話なこと。それから、活字の多くにVisual toolsと呼ばれるシンボルでふりがながふってあること。まゆみもちょっと読んでみたけど、何これFBIの暗号?みたいな。こんな複雑なコードが分かるのになんで普通のアルファベットがわかんないんだろう…。

この学校では、自閉症ベースという自閉症の子用のスペシャル学級があって、コンディションが改善するにつれて一般教室に移行していく、というプログラムを組んでました。午前中はベースにいて、午後は外に出たり。見事完全移行に成功した男の子とちょっと話をしたんだけど、彼はコンピューターで何やら数学のゲームをやってて(分数の割り算とかそんなの)、私はイマイチ分かんなくて逆に彼に教えられてしまった!!!_| ̄|○

ついでにこの経験を通して、都合よく忘れていたことをひとつ思い出しました。

そういえば私も入ってたよ!!スペシャル学級!!
そういう大事なことは最初に言うように。

イギリスに来た当初、私とまゆみ妹(23)[当時6歳]は英語が喋れなかったこともあって、他の子供数人(全員普通のイギリス人)とスペシャリストの先生について午前中特別クラスに入ってたの。別に英会話とかじゃなく。で、午後は一般クラスに戻ってた。わぉ、普通に忘れてたよ!!しかも↑に似てなくもないvisual toolsも使ってたし。言われてみれば、彼らのノートの字にもうっすら親近感が…。

おまけに私、小さい頃、日本語の文字はほとんど全部鏡文字(左右逆)だったし。色とか形のこだわりも強い方だった。なんだ私もたいして変わらないじゃん。

通訳のお仕事のときはいつでもそうですが、日英両サイドの自閉症事情についてかなり色んなことを学んだような気分。日本の、自閉症児を生徒ではなく患者として見てしまう傾向。イギリスの、本人だけではなく自閉症の子供を持つ親への徹底したサポートシステム。そして両国の自閉症の成人ケアが足りていない現状。

通常なら決して立ち入ることのない色々な場所に行き、貴重な経験ができました。これを機に、もっと自閉症・アスペルガー症候群についての知識と理解を深めていきたいです。

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